うけにっき

前のブログ見てたらなんか恥ずかしくなってきたので移籍します

この世界は全部回ったぞ。その何箇所かは覚えてるんだぞ。

 モダンに参入するうえで短期目標に掲げていたアジア・モダン選手権を終え、このフォーマットは自分の中で一区切りということで筆を執りました。

 2か月ちょいモダンを触ったまとめ的な記事になっています。

 

1. 序

 1-1. モダン参入の経緯

 今年の7月から仕事の休日形態が変わり、今まで活動の中心であった『数打ちゃ当たる』のPPTQ行脚が不可能になりました。

 量より質の時代がついに自分にも訪れてしまったことに戦慄しながら、平日夜のMOを中心にカードゲームをすることを決意。また、土日に休みを取れる日が限られてきたことから、フォーマット問わず大きなイベントに焦点を合わせて調整を進めていこうと決めました。

これまで主にプレイしてきたスタンダードの大会が直近になかったこと、PPTQのフォーマットもモダンになったことを受け、いつかは参入するのだろうとぼんやり考えていたモダンの世界に足を踏み入れる事に至りました。

 

 1-2. デッキ選択

 殴るデッキが好きなので初めは【人間】をMOで揃えました。

が、当時のMOモダンリーグはやたらと青白コントロールが多かったので直ぐに嫌になり廃業。

 M19発売前で、《民兵のラッパ手》が加入する前の事でしたので、今考えると人間を廃業したのは少しもったいなかった気がします。

 

 赤いデッキが好きだから試しに...と乗り換えた【バーン】が思ったよりもずっと楽しく、またこのデッキを所持していた身内が快く貸し出してくれたことを受けて、しばらくは相手を燃やし尽くすことに心血を注ぐことにしました。

 

2. バーンというデッキについて

 2-1. バーンとは

 妨害手段の少ない直接火力呪文を唱え続け、20点を取り切ることに特化した、オールインデッキです。

 相手への干渉を殆ど行わず、自分のやりたいことを押し付けるという点ではコンボデッキに近しいものがあるかもしれません。

 このデッキの強みとしては、

・押し付けるデッキである

・直接相手のライフを狙うデッキなので、土地からのダメージをアドバンテージとして換算できる

・自分より遅いデッキに対しては、ショックランドのタップインを半ば強制させる

等が挙げられます。

 バーンスペルしか入っていない構造上、中盤以降は相手の方がカードの質・デッキパワー共に高くなってくるので、序盤にどれだけテンポとダメージを稼げたかが勝敗の分かれ目になります。

 【バーン】の平均的キルターンは5, 6ターン。最高速度は3ターン(理論上)、一部のクリーチャーデッキ相手に限りコントロールとしてふるまうことが出来るので、勝敗が付くのに10ターン以上かかる場合もあります。

 早いデッキとの印象が強い【バーン】ですが、《風景の変容》や《頭蓋囲い》、《クラーク族の鉄工所》などの一枚通すとゲームセットに結び付くカードが存在しないので、純粋な速度は中の上程度です。

ただし、ライフ3を切った所謂「火力引けば勝ち」の状態に落とし込む速度は速く、またその状態に相手を追い込んでしまえば、行動を極端に制限できるので、ここを実質的なキルターンと考えると、実質的な速度は更に早くなります。

 どんなに負けそうなときでも、相手のライフが3以下で自分のターンが回ってくる限り勝利の可能性が大いにあるデッキですので、カードゲームに劇的な体験を求める人には強くお勧めできます。ドローステップ毎にひりつく感覚が味わえることでしょう。

 

 このデッキの短所は枚挙に暇がないほどですが、一番の問題点は「対策が死ぬほど容易な点」です。サイドボードは15枚もあるので、どんなデッキでも強い信念をもてば誰でも勝てる事でしょう。

 《稲妻のらせん》や《集団的蛮行》などの、スペルのおまけに回復が付いているカードが、いつ引いても強い性質上、使用者からすると一番嫌ですね。特に集団的蛮行はクリーチャー除去のモードまで直撃すると、カード3枚分持っていかれますので、「ゲームの格好は続くが実質負けている」という惨状を招く最悪のカードです。

 《機を見た援軍》《砂の殉教者》あたりの回復量が常軌を逸しているカード、《コーの火歩き》や《オーリオックのチャンピオン》などの継続してライフを回復するカードも非常に厳しいです。前者は一応《頭蓋割り》で対処可能ですが、これらのカードを使用してくるデッキ(青白コントロール、ソウルシスターズ等)と合わせて考えるとカウンターされたり、枚数が足りなかったりで根本的な解決になっていないことが多いです。デッキとセットになって驚異的なカードだと言えます。逆に、《ワームとぐろエンジン》《スラーグ牙》や《強情なベイロス》を要する【トロン】【赤緑ヴァラクート】をバーンが極端に苦手としないのは、《頭蓋割り》への回答を相手が持ち合わせていないからです。

 バーン絶対殺すマンとして有名な《神聖なる力戦》ですが、上位デッキに採用が殆ど見られないのが幸いしています。唯一《ぬめるボーグル》を中心に据えたデッキがほぼ100%採用していますが、そもそもボーグルデッキが非常に厳しいマッチアップなのである意味問題無いです。

 

   2-2. 環境での立ち位置

 

 バーンが苦手とするデッキは

(1) 自分よりも早く、妨害もこなしてくるコンボデッキ

(2) メインデッキからライフが戻る要素のあるデッキ

です。

(1)の例は【赤青ブリーチ】、【5cスケシ】

(2)の例は【ジェスカイコントロール】、【マルドゥパイロマンサー】

 

(1)に類するデッキは環境に少なく、追い風と言えます。【アイアンワークス】が半分該当しますが、妨害要素が薄いのと、《大歓楽の幻霊》が幸い効くので極端な不利はつかないかなと思っています。

 

(2)のデッキは人気も高く、マッチングしないと言い切れません。

長丁場の大会なら、必ず一度は踏みます。

要するに《稲妻のらせん》、《集団的蛮行》を有するデッキが厳しいと言っているのと等価ですので、【ブリッジヴァイン】がメインにこれを搭載し始めた現況は明確に厳しい状況です。

 

故に、現在バーンの立ち位置は大して良くありません。

残念なことです。

 

 競技シーンに持ち込む場合、【バーン】が環境上で意識されていない点に付け込むべきでしょう。

 意識されていないという事は、サイドボードから投入されてくるカードは少なく、また概ね予想の範疇のカードしかありません。(《集団的蛮行》、《自然の要求》、《機を見た援軍》etc...)

 サイド後のバーンの勝ち筋は、相手のサイドカードに対して《頭蓋割り》を差し込むことなのですが、相手のサイドカードが少ないという事はこのシチュエーションが多くなるという事。

 GP規模の長丁場ではそれでも徐々に馬脚を現してきてしまいますが、PPTQに持ち込む程度であれば、勢いで勝ち抜くことも十分に現実的な話です。

 

 2-3. 最終的なリスト

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 大会に持ち込んだリストです。

 前回との変更点はサイドの《安らかなる眠り》を《大祖始の遺産》に変更した事。 変更理由は、RIPを置いた分のアドバンテージ損を背負えないと判断したからです。

 墓地対策枠は【ジャンド】【死の影】【ホロウワン】等、幅広いデッキにサイドインする必須枠です。しかし、デッキによっては墓地リソースと独立した戦力を有しており、完全にRIPで機能停止しないものも多いです。また、《渋面の溶岩使い》との兼ね合いが悪いのも問題です。特に【ブリッジヴァイン】には墓地対策を入れつつラヴァマンサーを残すので、この兼ね合いの悪さは要解決な問題でした。

 そのようなデッキ相手に入れる墓地対策は、相手の減速を狙ってのものなのですが、その分こちらの攻め手も緩んでしまっては本末転倒であると感じました。

 故に、墓地対策としての信頼度は落ちますが、カード一枚になってくれるレリックを今回は優先しました。

 本番でもこの1ドローが生きて火力が間に合った試合があり、この変更は正解だったと感じています。

 

 取りたかったカードは《コーの火歩き》。

 ほぼミラーマッチ専用カードですが、どうしてもこじ開ける枠がありませんでした。

入れ替えられる枠が二枚取っている《灼熱の血》ですが、環境に緑白カンパニーが多いこと、そして《灼熱の血》がミラーマッチにおいて悪いカードではない事を考えると、ここを火歩きにすることはあり得ないと感じました。

 

 試したかった枠は《過酷な指導者》

 緑白カンパニーやアイアンワークスはデッキ全体でコンボを成立させに行くコンボデッキですので、一枚ずつ除去、ファクト破壊で対処するのは現実的ではありません。

 特に前者がサイドから必ずサイドから投入してくる《ブレンタンの炉の管理人》は除去プランを完全に否定してくる厄介者です。

 除去の枠が薄いデッキですので、こちらがブレンタンを乗り越えるに足る手札を整えるまでコンボににらみを利かせてくれることが期待できるかなと考えていました。

 試さなかった理由は本番前に思いつかなかったことと、カードがあまりにクソ弱そうだったからです。

 大会終わってから仕事中に思いつきました。

3. EWレポート

 3-1. 対戦結果

round

マッチング

勝敗

マッチ結果

1

緑白カンパニー

2-0

2

感染

2-0

3

青赤ストーム

2-1

4

ジェスカイコントロール

0-2

×

5

緑単トロン

2-1

6

赤青ブリーチ

2-1

7

青白コントロール

2-0

8

バー

1-2

×

9

ぬめるボーグル

0-2

×

10

ローグ

0-2

×

 

   3-2. 簡易レポート

round1 緑白カンパニー

 マナクリ焼いたら相手マナスクして勝ち

 マジックはクソゲー

 

round2 感染

 有利マッチ

 クリーチャー焼くのはエンド、もしくはソーサリータイミングを心がける

 顔にある程度割り振った後は大歓楽で蓋すると勝つ

 

round3 赤青ストーム

 やや有利

 ゲーム1は大歓楽

 ゲーム2は1マナクリーチャー多めハンドが《巣穴からの総出》のトークン8体とにらみ合った末、1ターン足りずで負け

 ゲーム3はブンハンドからフラッド気味になるも、なんとかスペルが駆けつけてくれた。墓地対策をRIPでなくレリックに変更した事が生きたゲーム

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round4 ジェスカイコントロール

 ゲーム1は中盤のフラッドが致命傷

 コントロール相手にフラッドした時のセオリー通り、ため込みに向かうが、テフェリーキャストを契機に動かざるを得ず、仕方なく動き始める。ブレイズが足を引っ張 り一手足りず。

 ゲーム2はワンマリからバーンスペル3のみの弱いハンドをキープ。最後の仕掛け所を誤った事が敗因、一手足りなくなる。

 レリックで墓地を消していった結果、相手のハンドにロジックノットが溜まっていくことを予想出来ていなかったことが原因。

 

round5 トロン

 ゲーム1は速槍2ラヴァスパイク2を含む土地1ハンドを後手キープ

 相手がトロンだったため、2ターン目のランドストップを咎められ敗北

 ゲーム2は先手2t目で地図を享楽で割る典型的勝ちパターン

 ゲーム3は相手のキープが温く、森活性スタートだったので間に合った

 

round6 赤青ブリーチ

 ゲーム1は取ったが相手のデッキを赤青コントロールと誤認

 ゲーム2でブリーチ打たれて初めて気が付く。トップ勝負にもつれ込むも向こうが一手速かった

 ゲーム3はドブンムーブで勝ち。極上の炎業が次のターン7割勝ちを10割にしてくれた。コンボデッキ相手なのでこの差は非情に大きく、採用した甲斐があった。

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round7 青白コントロール

 ゲーム2、後手土地1キープにパスを打ち込んでもらったのでハンドが潤沢に。

 サイドインした極上の炎技を引けていたのでプランが非常に立てやすかった。

 

round8 バー

 ゲーム3、先手でパスを残していたのだが、《コーの火歩き》に打ち込む以外の用途が無く、引いただけでマイナス1だという事を理解できていなかった。

 このマイナス1と相手だけに与えられた《稲妻のらせん》によるアドバンテージ差が効き、一枚足りずに敗北。

 

 (1) 相手がround7における6-1ラインに昇り詰めている「バーン」であることを考慮に入れたうえで、「現在のバーンにおいて、ミラーマッチ専用のカードをサイドボードにとることは不可能」という自分の調整結果を信頼し、相手から《コーの火歩き》が繰り出される可能性を切りすてる

 →先手選択、《流刑への道》は入れない。空いたスロットには押し付ける動きの《大歓楽の幻霊》を戻す

 (2) 相手が何かを犠牲に、《コーの火歩き》のスペースをこじ開けている可能性を考慮する

 →受ける選択になる、《流刑への道》のマイナス1を背負える後攻を選択

 

 (1), (2)のどちらかの選択が出来ていれば、あの時の手札で浮いていた《流刑への道》がバーンスペルに変わり、勝利することが出来たかもしれません。

 相手が《コーの火歩き》を採用していなかったこと、《流刑への道》を先後関わらず互いにサイドインし、結果自分だけが先手番にそれを引いてマイナスを背負いきれなかったこと。

 これらは結果論であり、今更考えても仕方ないことなのかもしれません。

 しかしながら、ミラーマッチにおけるサイド後のプランに確固たる結論を出せていなかったことは事実として受け止めるべきです。

 

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round9 ぬめるボーグル

 1ゲーム目、相手7枚キープから《神聖なる力線》

 しかし呪禁クリーチャーは展開されず。

 ここで問題にすべきは、「なぜ相手はその手札をキープしてきたのか」という点です。

 先のラウンドを落としたとはいえ、そこそこ高順位の6-2ラインに残っているボーグルデッキが、力戦のみのキープをするとは考えにくい所です。

 自分のデッキが対戦前に知られていた、と考えるのが妥当な処だと思います。

 「カット中にカードが見えた」

 「先のラウンドで見かけたとき、サプライを覚えられていた」

 「先のラウンド終了時に、対戦席に残ったまま身内と話しているのを聞かれていた」

 辺りがあり得そうなシチュエーションです。

 カードが見えてしまうのは兎も角、その他の所は今まで気にもかけていなかった所でした。

 今回明確に不利益を被ってしまったので、今後意識を向けていく必要が有りそうです。

 特に次のGPはチームリミテッド。しょうも無い所でチームに迷惑をかけることだけは避けたいところであります。

 

round10 ローグ

 相手のデッキコンセプトが分からず、《大歓楽の幻霊》が有効ではないかという推測のもとにこれを2体重ねておくと、これが自分の首を絞める格好になり敗北。

 サイド後もいい所なくわからん殺しされてしまいました。

 相手のデッキのパーツから【緑白カンパニー】系列であろうという推測くらいはできたかもしれませんが、基本的にあの時点で勝利できる目は限りなく少なかったと思われます。

 敗ラインまで転落すると、その日調子の良かったメタ外デッキを踏んずけて負けてしまうのはバーンの宿命です。

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 3-3. 総評

 最終的な結果は6-4。モブもいい所です。

 6-1ラインまで登りながらの3連敗でノープライズという結果なので、悔しさが先に立ちますが、round8のミラーに敗れて下のラインに落ちた段階で、なんとなく予想は出来た結果です。

 また、round9, round10の二つの黒星はモダン、そしてバーン名物の「マッチングした時点で概ね負け」だったのですが、その前の赤青ブリーチとの不利マッチを初手に恵まれて制しているので、不運を嘆いてはいけないなという感じです。

 上振れは狙えたが、結果としては概ね妥当な所でした。

 

 反省点は、バーンミラーをもう少し真面目に研究できていればなという点です。

lound8の対戦相手と試合後に感想戦をした際、

「僕は《溶岩の打ち込み》を抜いて《極上の炎技》を入れることにしている。前者は3点だが、後者は4点だからね。」

と言う話が出ました。

 その時点では何言ってんだこいつ3マナだしソーサリーやぞとしか思っていませんでしたが、これは後に、対戦相手と自分の間で、ミラーマッチのゲーム感が異なっていたのだと気が付きました。

 自分はミラーマッチを「《稲妻のらせん》や最後の数点をめぐるインスタントタイミングの火力の投げ合い」と考えていましたが、対戦相手は「トップした火力の投げつけあい」であると考えていたのです。

 どちらが正しいかはともかくとして、ゲームに対する感覚をサイドプランに反映させた彼と、ふんわりぼやっとサイドボーディングしていた自分には明確な差がありました。

 「この《流刑への道》が火力であれば...」と悔い続けた体験は、この反省を通していつかきっとあいつの顔面に3点火力として戻ってきてくれるでしょう。

4. まとめ

 練習結果を構築に反映し、それを大会に落とし込めたという点では、ここ2カ月弱の取り組みとして合格点であったと思います。

 一部プランを煮詰め切れていなかった所がありましたが、所謂レアケースに属するものでしたので、練習中に気が付けなかったのは今の自分の実力だったと納得しています。

 むしろ気が付いただけましだったとさえ考えています。

 

 カードゲームへの取り組み方としてかなり手ごたえを感じているので、この調子で練習を継続していきます。

 

ではまた。