「この研究は領事府の法に抵触する。」
チームでローグデッキをシェアして大会に持ち込む、という我々にしては珍しいスタンダードへの取り組み方をしたので、デッキ選択の経緯を記録しておきます。
あと思い出にデッキについてもちょろっと触れます。
見た目はブスでも、触ってみると中々に愛嬌のある可愛いやつでした。
1. 青緑王神とは
《来世への門》を軸とした、所謂ゲート型の《王神の贈り物》デッキの一種です。
このタイプの王神デッキはHOUリリース以降、環境に細々と存在し続けていたデッキでした。
《復元》を打つタイプの王神デッキと比較するとキーカードの《来世への門》がアーティファクトなので色拘束が緩く、幅の広い構築が可能なので、カードプールが広がるたびに様々なバリエーションが生まれてきたデッキタイプです。
この【青緑王神】は、墓地肥やしに探検クリーチャー、フィニッシャーに《新緑の機械巨人》を据えた構成になっています。
最大の特徴はデッキ全体が「殴れる」構成になっていること。
ゲート型の王神デッキは、その多くがcip能力でアドバンテージを確保するクリーチャーや能動的に戦場から墓地へ落ちることのできるクリーチャーで構成されていました。
このようなクリーチャーは総じてステータスが低く、結果として《来世への門》に依存した脆いデッキになりがちです。
比較して、今回の青緑は《マーフォークの枝渡り》《翡翠光のレインジャー》のパワーが十分殴り合いに耐えうる数値であり、尚且つ《ラノワールのエルフ》が絡んだ時の爆発力を加味すると赤系デッキへライフレースを挑める場合も多々有ります。
その場合、フィニッシャーである《新緑の機械巨人》を手札からキャストするプランを取れるので、ビートダウンとしての側面が更に強化されています。
また、《来世への門》やビートダウンプランと独立した勝ち手段として、《歩行バリスタ》に《新緑の機械巨人》のカウンターをオールインするプランがあり、相手の不用意なフルタップを咎めていくことが可能です。
一見するとクリーチャーしか入ってない不器用なデッキですが、実際にはビートプラン、《王神の贈り物》プラン、バリスタ巨人プランの三つの軸を併せ持った攻め手の多様なデッキです。
2. デッキ選択理由
スタートはここからでした。
赤黒はとても優れたデッキですが、ミラーマッチの不毛さに嫌気がさしてしまったのです。
・赤黒を選択しなかった理由
一般的に、ミラーマッチにおいて他と差を付けようとしたときにポイントとなるのは「プレイング」と「構築」です。
今回の【赤黒】デッキにおいて、この二点を考えます。
環境の最終盤、プレイヤー間のプレイングもほぼ足並みが揃ってきたタイミングですので、プレイングで差をつけるのは困難と言えます。
また、環境次点の《ドミナリアの英雄、テフェリー》デッキを始めとした雑多なデッキへの勝率を保持しながら、ミラーマッチに強い構築を導き出すのは、環境全体のメタゲームを読みつつ、赤黒が独自に形成するミラーマッチにおいてのメタゲームを読み切る観察眼と分析力が必要です。この点は遊戯王をプレイしてきた時から自分の苦手とするところです。
今回の場合、「プレイング」「構築」双方において自分が【赤黒】を使用して他より秀でる点が無いと判断したため、このデッキを使用しない事を決めました。
・青緑ギフトの調整
元々、前期のRPTQチームスタンダードの3rdデッキとしてこの【青緑ギフト】が発見されており、見かけに反してやりおるデッキという事は知っていました。
『青緑ギフトは赤黒に有利でやんす!おげげげ!』
と叫びながら、狂気的なことにRPTQを終えてもこのデッキを使い込んでいる28番がいたので、今環境でも使えるか問うたところ、ストームにもフォグにも勝てないと思うでやんす。と至極真っ当な返答をされて非常にがっかり。
でもまあ一応試してみようか、とMO競技リーグに持ち込んでみると意外なことに好成績の連続。
確かにストームとターボフォグは厳しいマッチアップでしたが、絶対数が少なく、トータルの勝率に与える影響は微々たるものでした。
意外と勝てるデッキであることを認識すると、28番に弟子入りして青緑ギフトチームの一員に加入。
MOだとやたら多くマッチングする【ケルドレッド】への勝率がイマイチで、実際に使用するプレイヤーも一定数いそうだったので、サイドの《野茂み歩き》を一部メインに昇格。
最終的に、リストの基本形はこのような形になりました。
この形から、
メインの霊気拠点*2→島*1、光物集めの鶴3枚目、サイドのニッサ*1→収集艇2枚目
に変更した形のものを日本選手権2019に持ち込みました。
3. 日本選手権2019スタンラウンド結果
スタンラウンドは合計6-1
ドラフトが2-1, 1-2とこけたのでトータル9-4フィニッシュ
50位くらいでした。ドラフト下手くそ。
4. 簡易レポート
コントロールはおやつです。
特に今回の大会は《スカラベの神》の採用が少ないコントロールが流行っていたようで、非常に楽でした。
round2. ケルドレッド
game1で《来世への門》のディスカードを間違えました。
トップの《歩行バリスタ》の受けを考えずに土地を捨てたら、ゲート開くのが一ターン遅れて負け。
このミスが無ければメイン戦を取れていそうだったので非情に悔しいマッチでした。
game1 もう少し早く決着をつける打ちまわしが出来たかもしれません。
どっちみち勝つのですが、game2を落としていた場合、最悪引き分ける可能性がありました。
あとニッサの0能力で《来世への門》を出そうとして警告貰いました。
round4. 緑黒砂漠
相性差
round5. 青単ストーム
game3 相手が《解析調査》4枚打っても何も引いてなかったようで運よく勝ちを拾いました。
自分のデッドラインをしっかり認識して、分水嶺の《来世への門》をキャストできたことを後に身内から褒められました。
確かに勝たないモードの時の自分はあそこで門のキャストに踏み切れなさそうです。
ゲートちらつかせながら《翡翠光のレインジャー》でどついてると、なんとなく《EMドクロバット・ジョーカー》で【メタビート】を小突き回してる故郷の感覚を思い出します。
そういえば勝ち確定の場面で相手のフルタップ《奔流の機械巨人》から唱えられた《ヴラスカの侮辱》に《呪文貫き》を合わせ忘れたせいでゲームが2ターン伸びました。
round8. 赤黒
そういえばここでやっと仮想敵の赤黒を踏んでいますね。
game3. フルタップの相手に対して、イプヌ起動でクリーチャー二枚落としてゲートが開くか、穏便に2マナ2マナで動いてターンを返すかの二択でイプヌ起動を選択。
盤面、ライフ共に余裕があった気がするので、今考えると少し刹那的なプレイだったかもしれません。
相手の動きが小考した後のフルタップフェニックスキャストだったので、《削剥》抱え読みでイプヌ起動したのですが、失敗するとすべてを失いかねませんでした。
5. まとめと感想
結局、対【赤黒】は五分~わからん殺しが通じる相手なら込々で六分ちょいくらいでした。
青緑ギフトをシェアした身内の戦績を合計しても恐らくそのくらいになっているはずです。
結果として、青緑ギフトは赤黒に有利が付くデッキではありませんでした。
原因はこちらの2マナ域が、赤黒側に何もインパクトを与えない点です。
先手なら押し付けを続けてごまかしが効くのですが、後手だと貧弱な盤面のまま、《ゴブリンの鎖回し》《再燃するフェニックス》と押し付けられて惜しくもなんともなく負けます。
この辺は調整段階でもなんとなーくわかっていた事でしたので、調整不足というよりはデッキの限界点なのだろうなと。
一方、赤黒を食わんとして増えていたコントロール系統に対しては非情に相性の良いデッキでしたので、その点を加味すると今回のデッキ選択はギリギリ合格点といった感じでした。
チームでローグデッキをシェアして持ち込む動きは初めての試みでしたので、まあまあ見れる戦績でおわれてほっとしているところであります。
調整を通しての反省は、チームに自分の意見と感覚をもうちょい伝えておけばよかったかなと思いました。
具体的にはサイドの収集艇二枚目の枠。
ニッサの三枚目が不要と感じていたので、開いた枠に赤黒の後手を返すカードを増やそうとしていたのですが、前述のニマナ弱すぎ問題を解決していないのでこれも微妙な枠でした。
全員で考えていればもう少しマシな15枚目になった可能性があります。
次回以降に改善していけたらな、と思います。
ではまた。